「アルツハイマー型認知症」発症の兆候を知る検査法と予防法
脳内ゴミのたまり場所を調べる「アミロイドPET」
現在のところでは、アルツハイマー病を回復する治療法のメドはついていません。
脳内ゴミ「アミロイドβ」は20年前からたまっていくので、たまり具合を調べることで発症を遅らせる早期治療が可能になります。
アミロイドβが溜まっているかどうかは、以前には脳脊髄液(脳を満たしている液体)を背骨の近くから採集して調べていましたが脳脊髄液の採取は大変な作業でした。
そこで、放射線を出す検査薬を注射してこの薬が発する放射線を検出する陽電子放射断層撮影を用いた「アミロイドPET」と呼ばれる診断法が開発されました。
この検査で、アミロイドβが脳のどこにどれだけの量があるか知ることができるようになりました。
陽電子放射断層撮影装置は磁気共鳴画像装置(MRI)と同様な大型装置ですが、かぶって検査できる頭部用PET装置も研究されています。
この検査を受けることができるPET施設が日本核医学会のホームページに掲載されていて、検査費用は健康保険が使えないので全額自己負担になり10万円代〜(頭部だけでなく全身のがん検査)です。
現状では認知症の検査はかなり高額ですが、将来血液検査でできるように研究されています。
アミロイドβを血液中に排出するたんぱく質とアミロイドβの分解を助ける3種類のたんぱく質がつきとめられています。
このたんぱく質が血液中に少ないと、脳からアミロイドβを排除する能力が低いと推測でき、血液検査で脳内ゴミが溜まっているかの推測が可能になります。
血液検査でわかるようになると、アルツハイマー病の早期発見・早期治療が可能になり、認知症の発症を遅らせるようになります。
認知症の症状
認知症の症状には、ニューロンが死ぬことで引きおこされる中核症状と関連する周辺症状があります。
中核症状
認知症になると以下の症状がみられます。
- 物忘れからはじまる記憶障害
- 考えがまとまらなくなる判断力低下
- 買い物でお釣りの計算に手間取ったりする計算力障害
- 料理や着替えのような段取りが必要な行為ができなくなる失行
- 知っているはずのものを認識できなくなる失認
- 時や場所、人の名前がわからなくなる見当識障害
周辺症状「心理症状」
中核症状に関連する心理症状には、不眠、不安、被害妄想、興奮、幻覚、抑うつなどがみられます。
周辺症状「行動症状」
中核症状に関連する行動症状には、暴力、暴言、介護への抵抗、火の不始末、徘徊、不潔行為などがみられます。
アルツハイマー病の予防
アルツハイマー病をひきおこす原因には以下があります。
- 65歳以上では5歳ごとに2倍になる加齢
- アルツハイマー病の発症に関連する遺伝子
- 発症が数年早まる頭の強打
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症のような生活習慣病
- 2倍以上発症しやすい喫煙
これらの原因に気をつけることになりますが、加齢や遺伝子などは予防できません。
以下は、アルツハイマー病の発症を遅らせるには、以下の方法があります。
- ジョギングや水泳など有酸素運動をする日々の運動
- 食品の種類が多いバランスのとれた規則正しい食事
- 脳を活性化させる趣味・料理・楽器の演奏・十分な睡眠など
- アミロイドPETで検査できますが保険が使えないので検査料が高額です
- 認知症の症状はわかっているので症状が出たら検査しましょう
- 有酸素運動・規則正しい食事・禁煙・睡眠などは発症を遅らせます